診療内容
当院は、明るく清潔な医院、こどもを元気づけられる医院を目指します。
ていねいに診察し、よく考え、ご家族と相談して、適切な診療を提供します。
感染症を未然に防ぐことを大切に考えます。
わかりやすい説明を心がけ、安心して通院していただけるよう努力します。
小児科診療
心配なことは何でもご相談ください
こどもの発熱、せき、鼻水、のどの痛み、腹痛、嘔吐、下痢、便秘、湿疹など病気の場合はもちろん、子育て上の不安など、どんなご心配もお気軽にご相談ください。
ときには、いつもと何となく様子が違う、という親の気づきが重要なサインであることもあります。
このような受診が重要な診断のきっかけとなった経験は、小児科医なら誰しも持っているものです。
診察させていただいたうえで、これならまず大丈夫でしょう、とお返事することも多かろうと思いますが、変だな、と引っかかることがあったら、ご相談下さい。一緒に考えさせていただきます。
詳しい検査や入院加療、手術などが必要と判断された場合は周辺の地域連携病院へ、また耳鼻咽喉科や眼科、整形外科など他科にかかわる疾患の場合は、それぞれの専門医をご紹介いたします。
こどもによく見られる症状
- ・熱
- ・せき、痰
- ・鼻水、鼻づまり
- ・のどの痛み
- ・ゼーゼーする
- ・ひきつけ(痙攣)
- ・お腹が痛い
- ・嘔吐、下痢
- ・便秘
- ・湿疹(ブツブツ)
- ・肌のカサつき
- ・機嫌が悪い
- ・泣き方が普段と違う
- ・何となく元気が無い
- ・顔色が悪い
- ・食欲が無い など
スムーズな診察のために
患者さんの症状について、下記のような情報をお教えいただけると診察がしやすいので、できる範囲でご協力いただければと思います。
- ・元気はありますか?わらったり遊んだりしますか?
- ・食欲はありますか?普段の半分よりも少ないですか?
- ・水分はとれていますか?哺乳はできていますか?
- ・熱、せき、痰、鼻水、のどの痛み、嘔吐や下痢の有無、いつからありましたか?
- ・家族やまわりの人に、同じような症状の方がいらっしゃいますか?
- ・尿や便の状態に異常があれば、撮影してお持ちになっていただけるとありがたいです
- ・薬に対するアレルギーは経験したことがありますか?
- ・母子手帳(出生体重と週数、発達の経過、予防接種歴)
- ・お薬手帳(現在、服用させている薬はありますか?)
- ・入院したことはありますか?
患者さんの具合がひどく悪い場合
診療は原則として順番通りに行いますが、下記のような患者さんは配慮をいたしますので、スタッフにお伝え下さい。
- ・何度も嘔吐を繰り返して、ぐったりしている
- ・ひきつけを起こしている、またはその直後である
- ・激しい頭痛や腹痛がある
- ・喘息の発作等により、呼吸が苦しそうである
- ・ウトウトして目の動きがおかしく、ぐったりしている
- ・周囲の刺激に反応しない など
※このような強い急性症状の患者さんがいらっしゃる場合には、診察の順番が前後することがあります。申し訳ございませんが、ご了承お願いいたします。
こどものこんな症状がみられたら
- 発熱
- 生後3ヶ月になる以前の赤ちゃんが熱を出した場合は、重い細菌感染症である可能性があるので、受診を急いでください。
こどもで問題となる発熱とは、通常は38℃以上を指します(「平熱が低い」方でも、通常は同様に発熱します)。
正しく患者さんの状態を把握するために、他にどんな症状があるかも観察して下さい。咳や鼻水、嘔吐や下痢、痛みや湿疹はありませんか?
水分が摂れなくておしっこが出ない、顔色が悪い、元気がない、意識がはっきりしない、痙攣を起こした、機嫌が悪い、などの場合は早めに医療機関を受診して下さい。 - 腹痛
- 腹痛の原因は便秘や感染性胃腸炎が多いですが、それ以外にも、腎尿路の疾患、食物アレルギー、肺炎などの呼吸器疾患など、様々な原因があります。
腹痛を起こす緊急性の高い疾患としては、虫垂炎や腸重積(腸の一部が、同じ腸の中に潜り込んでしまう疾患)などがあります。これらを診断するのはときに難しいことがありますが、小児科医としてできるだけ感度高く判断したいと考えています。 - 嘔吐
- こどもは大人に比べて嘔吐しやすく、咳や、ちょっとした刺激でも、よく嘔吐します。吐いた後も普段と変わらない様子であれば、そのまま様子を見てよいでしょう。
ノロウィルス、ロタウィルスなどによる感染性胃腸炎であれば、半日~1日程度、嘔吐が続きます。スプーンで少しずつ、糖と塩分を含む水分(OS-1や、スポーツドリンクを薄めて塩を加えるのも良いです)を与えてみましょう。
何度も繰り返し吐く、与えた水分を吐いてしまう、元気が無い、顔色がわるい、といった場合は、早めに医療機関を受診して下さい。 - 下痢
-
乳児はさまざまな原因でよく下痢をします。下痢をしても、嘔吐はせずにいつもと変わりなく、機嫌よく哺乳したり食事をとったりできていれば、それほど心配いりません。乳児では、いちど腸管が障害を受けると回復に時間がかかるので、本人は元気に戻っていても下痢だけが続くことがあります。
ウィルス性胃腸炎の場合は嘔吐がおわるのと入れ替わるように下痢がはじまることが多いです。通常この段階になると水分がとれるようになりますので、塩分と糖分を含めて与えつつ、時間の経過とともに改善していくことが多いです。クリニックでは、整腸剤を用いることで症状がはやく改善するように対応することもあります。
また、本人に食欲があって、腹痛や強い下痢を引き起こさないようであれば、柔らかい食べ物ではなく、普通の内容の食事を与えたほうが回復が早いこともあります。下痢がつづき、水分が摂れずにぐったりしているような場合は、早めに医療機関を受診して下さい。また、5~7日以上下痢が続く場合も、症状確認のために受診をお勧めします。
- 便秘
- 便秘は赤ちゃんの時期から小学生まで、とても良く見られる状態です。便の排泄は実はかなり複雑な行動なので、赤ちゃんの時期はうまく排泄できなくて怒ったり泣いたりすることもあります。このようなときは浣腸で対応することがあります。
また、便が硬くて排泄できない、痛くて泣いてしまう、という場合には、便を柔らかくして排泄しやすくするように投薬をすることがあります。
このような浣腸や投薬が「くせになってしまう」ことはありません。正常なリズムで排便を促すことが、状態の改善につながります。 - 便の色の問題
- 赤ちゃんの便の色には個人差がありますが、まず「うすい色の便」に注意して下さい。母子手帳に「便色カード」が着いていますから、気になった人は赤ちゃんのベント比較してみましょう。
「緑色の便」は通常問題ありません。ウィルス性腸炎による下痢では「白色の便」が見られることがあります。
「赤い色の便」「黒い色の便」は、消化管の何処かから出血していることを示しています。母乳栄養のあかちゃんでは、時々わずかな血便が見られることがあり、これは問題ないのですが、これらの色の便がみられたら、いちど写真を撮っていただいた上で受診していただくことをお勧めします。便そのものを持ってきていただくと途中で変色してしまうので、写真のほうが望ましいです。 - せき
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痰が絡んでいるのか、乾いた咳か、ゼイゼイやヒューヒュー音を伴っているか、はなみず・鼻づまりがあるかどうかを確認させて頂き、呼吸音やのど、ときには耳や鼻の状態を診察して原因を考えてゆきます。
乾いた咳の場合は、マイコプラズマ、百日咳、といった疾患を疑いますし、痰が絡んでいれば、ウイルス性の感冒から、時には細菌性の肺炎まで考える必要があります。乳児のゼイゼイは喘息症状の合併であったり、RSウィルスなどの感染症を疑います。治療方法を考えるために、血液検査をして、白血球数などから体内の炎症の程度を調べることもあります。
また、アレルギー疾患としては気管支喘息の他、アレルギー性鼻炎が咳の原因になっていることがあります。
発熱や、睡眠障害の程度など、総合的に考えて、必要最低限のお薬で様子をみることもありますし、喘息や肺炎として治療したり、より高次の医療機関へご紹介させて頂くこともあります。
- 呼吸が苦しそう
- 喘息の発作や、時には食物アレルギーなどによるアナフィラキシーで、呼吸の苦しさを訴えたり、ゼイゼイしたつらそうな呼吸になることがあります。程度に応じて、吸入や点滴注射といった処置が必要となります。
また、突然息苦しさを訴えたり、強い咳込みを伴うような場合は、気管内の異物(ピーナッツ、ボタン、タバコ、薬、玩具など)の可能性も考えられます。
アレルギー
当クリニックでは、アレルギーによって引き起こされる疾患、例えば、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎や結膜炎(花粉症)などの急性期の治療と長期的なフォローアップを行います。
気になるアレルギー性の症状、またはアレルギー性の可能性がありそうな症状がみられたらご相談ください。
初診に際して
アレルギー症状疑って受診される際は、下記のような「メモ書き」をご用意いただくと、診察がスムーズに進みますので、可能な範囲でご協力ください。
- ・初めて症状が出た時期
- ・症状の具体的な内容
- ・症状が出たきっかけ
- ・その後の症状の経過
- ・これまでにかかった医療機関
- ・これまでに受けた検査の結果
- ・これまでに使用してきた薬の名称
- ・家族にアレルギー患者がおられるかどうか
- ・ペットの有無
- ・喫煙者の有無 など
アレルギー検査について
アレルギー症状を引き起こす原因である抗原(アレルゲン)には、ダニ、ハウスダスト、花粉、食物、カビなど、いろいろな物質があります。
アレルギー検査は、抗原が何であるのかを特定し、治療の参考にするための検査です。
検査方法には「血液検査」や「皮膚テスト」、「食物除去テスト・負荷テスト」などがあります。
当院では「血液検査」を行うことができます。
「食物負荷テスト」は、アレルギー専門医のもとで行うことが望ましいとされており、状況に応じてより高次の医療機関に紹介させていただきます。
アレルギー性の病気の状態を見極めるために、医師から検査をおすすめさせて頂く場合もあります。
逆に、症状や家族歴など特別な事情のない限り、アレルギーが疑われない段階で先んじて検査を行うことはおすすめしていません。
食物アレルギー
食物アレルギーでは、血液検査で陽性であっても、実際には問題なく食べられることもありますし、逆に、検査で陰性であっても食べると症状がでる場合もあり、実際に食べたときの症状を優先すべきであるとされています。
推測や、「念のため」の食物除去は、栄養不良を引き起こすことがあります。
食物アレルギーは年齢に従って改善することが多いので、必要な食物除去はしつつも最低限にし、食べられる範囲を相談しながら見極めていくのが、当院の食物アレルギーに対するスタンスです。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹を特徴とする皮膚疾患で、良くなったり悪くなったりを繰り返します。
多くの患者さんが、皮膚の乾燥(ドライスキン)とアレルギーを起こしやすい体質を併せもっていて、抗原が乾いた皮膚を通過する → 体内でアレルギー炎症を起こす ことによって発症します。
最近の研究では、食物の刺激が(消化管ではなく)皮膚を通過することで、食物アレルギーに関与するのではないかとも言われており、まず皮膚のカバー能力を取り戻して、炎症が起こらないようにすることが治療の第一歩です。このために用いるのが保湿剤です。
起きてしまった炎症(かゆみや湿疹)に対する治療には、ステロイドと免疫抑制剤の外用薬が使用されます。
ステロイド外用薬の歴史は長く、効果が実証されている最も基本的なアトピー性皮膚炎の治療薬です。
ステロイドの内服薬はいろいろな副作用がありますが、外用薬で同じような副作用がでることはありません。
体内に吸収されやすい部位(顔や陰部など)への連続塗布にはそれなりの注意が必要なのですが、それでも、ランクの低いステロイドの期間を区切った使用であれば、ほぼ問題ありません。
ステロイド外用薬の副作用として皮膚の萎縮や紅斑などが言われています。
しかし、使用量を守り、症状に合わせて使用頻度を増減させていれば、あとに残るような副作用は生じないと報告されています。
不十分な使用であまり効果が出ず、ながく使い続けるよりも、しっかり使って炎症をなおして、あとは時々塗る程度のほうが、かゆみも抑えられますし、結果的に副作用も少なくて済みます。
まずは2週間を目安として保湿剤とステロイドを併用して、炎症をしっかりと抑えます。
このときの塗布量や範囲が不十分であると、治療がうまくいかない原因になります。
炎症が治まってきたら徐々に塗布間隔を開けていきますが、保湿剤の使用はそのまま続けます。
一見して炎症がわからないようになっても、ドライスキンは残っているので、保湿剤の使用は続けましょう。
ステロイドについては、曜日を決めて1週1回など、定期的に塗布するほうが、一度塗るのを止めてしまうよりも、最終的な使用量が少なく、副作用が少ないことが知られていますので、そのようにおすすめしています。
このようなステロイド外用薬の使い方は、現在のアトピー性皮膚炎治療の基本となるものです。
患者さんの症状やご家庭の状況も踏まえてどのような治療を行うか相談させていただきます。
ほかに痒みを抑えるために、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を補助的に用いることがあります。
また、治療以外に、入浴の方法や石鹸の使い方、皮膚の清潔を保持することがとても大切です。
重症であったり、基本的な治療方法で改善が見られない場合は、アレルギーの専門医にご紹介させていただきます。
気管支喘息
気管支喘息は、空気の通り道である気道に炎症が起きる疾患で、「ゼイゼイ」「ヒューヒュー」という症状(喘鳴)が特徴的です。
気管支喘息の患者さんの気道は慢性的なアレルギー性の炎症があり、粘膜が腫れていたり、過敏になったりしています。
吸入性のアレルゲン(ダニやハウスダストなど)やウイルス、冷たい空気などによる刺激が加わると、気道が狭くなって「ゼイゼイ」「ヒューヒュー」が聞こえたり、呼吸がしづらくなって肩で呼吸したり、痰が絡んで咳き込んだりします。
とくに乳児期は、はっきりとしたアレルギーがなくても、ウィルス感染によって同様の症状を繰り返す場合があります。
じっさいに上記のような喘息の発作が起きているときは、気道が狭くなっていますから、これを広げるための薬(気管支拡張薬)の内服や、吸入治療を行います。
しかし、喘息の発作を繰り返すと、呼吸機能が低下してゆくことが分かっています。
ですから、喘息発作の頻度が多い場合には、それぞれの発作を治療するだけではなく、発作を起こさないように予防することが大切であると考えられています。
予防治療としては、環境の整備(タバコやホコリ・ダニは大敵です)をしつつ、抗アレルギー薬を長期的に使用します(このことによる副作用はあまりありません)。
それでもコントロールができないときは、ステロイドの吸入薬を用います(これにはいくらかのご説明が必要な副作用があります。注意点を守ればそれほど問題はなく、ステロイド内服のような多種多彩な副作用ではありません)。
小児科医の役割は、こどもひとりひとりの症状や発作頻度を把握して、適切な治療を開始したり、逆に治療を終了できるかどうかの判断を細やかに行うことです。
アレルギー性鼻炎
アレルゲンを吸入することで、鼻の粘膜でアレルギー性の炎症がおきて鼻症状をしめすのがアレルギー性鼻炎です。
症状は主として鼻と目に現れ、くしゃみ・鼻みず・鼻づまりが3大症状ですが、慢性的な咳込みを訴えられて来院されることも多いです。
通年性のアレルギー性鼻炎症状がある場合、ハウスダスト(家の埃やダニの糞・死骸など)、ペットの毛やフケ、カビなどが原因となります。
季節性に増悪する場合は、春のスギ花粉やヒノキ花粉、夏以降のイネ科・キク科の植物などが原因となります。
治療として抗アレルギー薬や、ステロイドの点鼻薬を用います。年齢や症状に合わせて投薬内容を調整する必要があるので、ご相談下さい。
アレルギー性結膜炎
アレルギー性鼻炎と同様に、結膜にアレルゲンが付着してアレルギー性の炎症がおきて、目の痒みや異物感を呈する疾患です。
通常、最初に抗アレルギー薬の内服や点眼薬を使用し、それでも改善しない場合はステロイド点眼薬を用います。
アレルギー性鼻炎を併発していることが多いので、そのようなときは両方の治療が必要となります。
当院では、ステロイド点眼薬が必要と思われる場合には、眼科やアレルギー専門医に紹介させて頂く方針にしております。